TOPへ

薬物性肝障害(DILI)

市販薬でも起こる薬物性肝障害

市販薬でも起こる薬物性肝障害薬などの服用によって、肝臓がダメージを受けて起きる肝障害です。
原因には、医療機関で処方された薬やドラッグストアなどで購入できる一般用医薬品、漢方薬、サプリメント、もともと人体に有害な毒物や有害物質などさまざまなものがあります。
軽い症状で済むことも多いですが、中には腹痛や吐き気、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、意識障害などの肝不全の症状が出現するため、注意が必要です。
また、体質的に薬物性肝障害になりやすい方がおり、過去に薬でアレルギー症状が出現した、肝機能が悪くなった方は特に注意しましょう。

かゆみや発疹も?薬物性肝障害の症状

かゆみや発疹も?薬物性肝障害の症状多くの場合は、無症状か症状があっても軽症です。
医療機関を受診した際の血液検査で肝機能の異常を示し、見つかるということも少なくありません。
代表的な症状は、倦怠感や食欲不振、嘔気・嘔吐、発熱、かゆみなどです。
ただし、時に重症化することもあり、その場合は肝不全の症状である、腹痛や肝臓の腫れ、黄疸、皮下出血、意識障害などが出現し、劇症肝炎に発展すると命に関わることもあります。
発症のタイミングは、初回服用直後や長期継続服用後などさまざまです。

薬物性肝障害の症状はどれぐらいで出る?

発症するまでの期間は4週間以内が70%以上、8週間以内が80%を占めるとされています。
中には、1回の服薬で発症に至る場合や服薬開始から数年経過後に発症することもあります。

薬物性肝障害の原因

原因には、医療機関で処方された薬やドラッグストアなどで購入できる一般用医薬品、漢方薬、サプリメント、もともと人体に有害な毒物や有害物質などさまざまなものがあります。
また、体質的に薬物性肝障害になりやすい方がおり、過去に薬でアレルギー症状が出現した、肝機能が悪くなった方は特に注意しましょう。
薬物性肝障害が生じる原因により、以下の2つに分類されます。

特異体質性 原因となる薬やサプリメントの量に関係なく、体質に依存して、肝障害が起こります。
薬物性肝障害の多くが、特異体質性とされています。
中毒性 薬やサプリメントなどをたくさん服用することで、薬やサプリメントあるいは代謝によって産出された物質が、肝臓を直接攻撃することで肝障害が生じます。。
原因物質の量が多ければ多いほど、障害が強くなります。
中毒性は動物実験でも再現できるため、肝障害の発生をおおよそ予測できます。

薬物性肝障害の検査と診断基準

薬物服用と肝機能障害の経過とが時間的に関連するため、その点を踏まえて何によるものかを特定します。
また、薬物以外の原因で肝障害が生じている可能性もあるため、他の肝障害を除外できるように診断していかなければなりません。
これらを患者様からの情報、検査結果をもとに診断します。

血液検査で見るべき数値

血液検査多くの方は、持病のための血液検査で肝機能が異常を示すことで見つかります。
肝細胞の障害が生じた場合、 多くの場合AST(GOT)、ALT(GPT) 、ALP、γGTPの上昇が見られます。
肝機能が悪化していく場合には、プロトロンビン時間や血清アルブミン値、コリンエステラーゼ値などの血液検査項目を追加して悪化兆候を見極めて、必要時には早急に治療を開始しなければなりません。
また、胆汁の流れが滞った場合は、胆道系の酵素の数値である γGTP 、ビリルビン値、ALPなどが上昇しやすくなります。
アレルギー機序のものであれば、白血球や好酸球の増多がみられやすく、リンパ球刺激テスト(DLST)が陽性となることもあります。

薬物性肝障害の治療

原因となる薬物の中止が治療の基本です。
また、症状が出現していれば、症状に対して治療を行います。
多くの場合は、薬を中止することで症状は改善していき、予後も良好です。
原因とされる薬物の服用を中止しても、肝機能が改善しない場合には、肝機能改善薬を使用する場合もあります。
具体的な治療方法は、安静臥床での経過観察、低脂肪食(脂肪を1日30~40gに制限など)による消化の良い食事を中心とした食事療法があります。
また、肝障害の程度が中等度以上の場合、強力ネオファーゲンシーの(SNMC)の静脈注射、ウルソデオキシコール酸(UDCA)の経口投与による薬物療法を行い、ALTの改善に努めます。
黄疸を伴う場合は、ステロイドによる治療を行うこともあります。
何によって発症したのかによって、治療方法の選択も異なります。
そのため、早期の正確な診断が重要になります。
少しでも気になる症状がある方は、肝臓専門医による診察が可能な当院までお気軽にご相談ください。

薬物性肝障害の予防法

過去に服用したことのある薬で何らかの問題があったものは、原則、再度の服用は避けましょう。
アレルギー体質の方や薬物アレルギーを起こしたことがある人は、薬物性肝障害を起こしやすいとされているため、あらかじめ主治医に内容を伝えてください。
また、肝臓病や腎臓病を患っている方は、薬の代謝や体外への排泄が悪くなっている可能性が高く、薬による副作用が出やすくなります。
どのような薬でも肝障害になる可能性はあります。
そのため、服用経験がない薬やサプリメントの服用を開始したときには、倦怠感や嘔気・嘔吐、かゆみ、黄疸などの症状が出現していないかを確認するようにしましょう。
症状が出た時には、すぐに病院や薬局などの医療機関に連絡してください。